中途採用の場で応募者が一貫したキャリアを持って、過去・現在・未来が繋がるストーリーを語れると説得力が段違いです。
なぜなら職務経歴書の記載と、面接のやり取り内容がちぐはぐな人は意外と多いから。
残念ながらちぐはぐな内容だと説得力が無いのでお見送りの可能性が高まります。特にチームリーダー以上のポジションを探しているとき、わたしが面接官なら残念ながらお見送りします。
過去どんな経験をしてきて、今何ができて、将来どこに向かいたいのか。一貫したストーリーを語るための軸がキャリアです。
自身のキャリアを確信を持って語れる人は、望む経験を積むためにスキルを磨いていける人に見えるんですよね。
実際のところただ漫然と日々の業務をこなすより、目的意識を持って取り組んだ方が成長につながるのは明らかです。めちゃくちゃ伸びる新人って、得てしてそんな人だったりしませんか?
つまるところキャリアを一言でいうと、結局あなたは何をやって食っていくのかという話。
会社の都合でジョブローテーションしていると、会社にとって都合のいいジェネラリストになるだけです。
キャリアの軸を持って経験を積み上げていけば、会社を選べるスペシャリストになります。
もしあなたが人生の主導権を取り返したいと願うなら、この記事がその一助となれるよう、わたしの知識と経験とスキルを出し惜しみせずお伝えします!
キャリアとは仕事を通じて何かを積み上げていくための軸
一般的な定義とは少し異なるかもしれませんが、この記事で取り扱うキャリアという言葉は、人生上の仕事においての軸という意味です。
仕事を通じて何を実現して、ひいてはどんな人生を送りたいのか、そのための軸をキャリアと呼ぶことにします。
ここからは実例を上げながら、いくつかのキャリアをみていきましょう。
わたしがIT業界に勤めているため全てIT業界のキャリアの実例となります。
ですが他の業界でも通用する普遍的な考えも併せて考察するので、ぜひ読んでみてください!
わたしが転職で語ったキャリア―リーダー経験を生かして管理職として価値を提供する
わたしは2022年に転職して、前職から340万円年収が上がりました。
年収アップが目的になることも多い転職では、ひとつの成功事例だという自負があります。
その転職時にどんなキャリアを語ったのかをお伝えします。
先に結論をお伝えすると、リーダー経験を生かして管理職としてチームの価値を上げて、売り上げに貢献するという内容です。
わたしは社会人になってから13年間、ずっとIT業界に勤めています。
25歳頃からリーダーのような役割を担うことが増え、そこから先はほぼずっとチームリーダやPMを担ってきました。
これだけを見るとさぞ順風満帆なキャリアを過ごしてきたように見えるでしょう、わたしもそう思いますw
ですが現実は厳しく、2度目の転職までは、業務内容と給与が全くかみ合っていませんでした。
余談ですがあなたの給与を決めているのは、業務内容でも、スキルでも、売り上げへの貢献度でもありません。
会社の給与テーブルが全てです。同じことをやっても会社が違えば当然のように給与は変わります。
新卒ならほぼ年功序列の形で毎年少しずつ昇給する会社がまだまだ多いでしょう、中途採用であれば前職の給与が支配的な要因です。
閑話休題、今でこそ振り返ってみればリーダーやPMを他人より早いタイミングで担い始めていたんだなと思います。
ですがキャリアに無頓着だった当時のわたしは日々の業務に追われて、自分は何者で何をして行きたいのかなど、考える余地はありませんでした。
週末を楽しみに平日が過ぎ去るのを願う人って意外と多いのではないでしょうか。
かくいうわたしも本気でキャリアについて考えるまではそんな日常を過ごしていました。
わたしの転機は子どもが生まれたことです。しかも双子。
妻と2人なら何となくその日暮らしも許せなくはないかなと思っていましたが、子どもができたらそんなことは言ってられません。しかも双子。
教育費と養育費を計算してみたら、どう考えても当時の給与じゃ足りなかったんですよね。
そこで年収を上げるために転職という手段を選びます。
選ぶんですが、そもそも転職先の会社には、わたしのことを現職よりも高く買ってもらわないと意味がありません。
そのためには自分自身に付加価値を付けて売り込む必要があります。
このときに人生で初めてキャリアの重要性に気が付き、そして過去の経験の棚卸を始めました。
棚卸をするまでは、会社に言われたことをこなすだけの、ごく平凡で大した価値のない人間だと自分のことを諦めていました。だって年収も低かったし。
でも子どもが生まれてそんなことを言ってる場合じゃなくなって、必死になって何をやってきたのかを見つめ直しました。
職務経歴書をもっと細かい粒度で埋めていくイメージで。
その結果たどり着いたのが、25歳頃からリーダーのような役割を担うことが増え、そこから先はほぼずっとチームリーダやPMを担ってきたという結論です。
この結論を得てから先は、すんなりとストーリーが決まりました。
チームやプロジェクトをけん引してきた経験と、一般論として上級管理職ほど給与が高くなっていく現状は、とても都合がよかったんですよね。
これまでのリーダー経験を生かして管理職としてチームの価値を上げて、会社の売り上げに貢献する。
過去と現在と未来が一直線につながるキャリアビジョンを示して、340万円の年収アップを勝ち取りました。
仮に今、あなたの年収が低いとしても、それは会社の給与テーブルが低いからです。
年収とあなたの価値は無関係です。
会社を選べるスペシャリストになりたければ、まずはあなたの過去の経験の棚卸から始めてください。
中途採用者で魅力的に感じたキャリア―営業経験を生かして顧客が抱える問題の本質を見抜く
次は中途採用担当として面接してきた中で、一番印象に残っている方のキャリアの話です。
彼のキャリアは、営業経験を生かして顧客課題をヒアリングし、問題の本質を突き止めたうえで解決策を提示するというものです。
彼はもともと営業職で働いていて、30歳手前にIT業界に転職してきました。
そこから10年ほどIT業界で経験を積んで、年齢的にも求められるスキル的にもベテランの域に達した状態です。
採用面接での彼のキャリアビジョンは、営業経験を生かした顧客課題のヒアリング力でした。
営業というと押し売りを想像する人も少なくないでしょう。訪問販売とか間違えて玄関開けるとめちゃめんどくさいしネ。
でも本来の営業職というのは、顧客課題を把握したうえで、望む未来に到達させるための手段として商品を売る人です。
顧客は得てして自らが抱えている問題の本質が見えていないものです。
その状態で商品の機能や価値にフォーカスしてしまうから押し売りなんであって。
問題の本質を紐解いて、解決した先の未来を提示できれば、おのずと顧客からその商品をぜひ売ってくれと言ってくる。
彼はそんなセールスができる人でした。
さらにはセールスのみならずIT業界での経験から、問題に対する解決策も提示できると言うのです。
単にITスキルがあるというだけでなく営業の経験を掛け合わせることで、コンサルティング職としての立ち居振る舞いができる、というアピールに痺れた記憶があります。
実際に彼は最終面接も通過して採用になりました。
そして顧客との要件定義の打ち合わせに同席してもらったところ、ただ顧客の話を聞くだけではなく、的を射た質問を繰り返すことで問題の本質に到達する能力を見せつけたのです。
IT業界では特定のプログラミング言語に精通しているというだけでは大きなアドバンテージになりません。当然のことなので。
ITとそれ以外の経験を掛け合わせて、より大きな価値を生み出す。
これが彼の示したキャリアです。
過去の経験の棚卸を丁寧に行えば、あなたにも現職のスキルに掛け合わせてシナジーを生める経験が眠っているかもしれません。
キャリアに一貫性のない残念な例―スキルが売りなのにスキルを磨くことに時間を費やせていない
最後はキャリアに一貫性のない残念な例です。
その方は高スキルが売りでしたが、業務以外にスキルアップに繋がるアクションが取れていませんでした。
その方は30代後半の応募者で、メジャーな言語に一通り精通しているという触れ込みでした。
実際に職務経歴書を見る限りでは、スキルが高そうな人物に見えていました。
では何が致命的だったのか。
それは職歴に前職を退職してからの空白期間が数か月あったことと、その空白期間で何をしていたのか説明できなかったことです。
職歴の空白期間自体はそこまで問題ではないですが、その間何をしていたのか説明できないと、採用側としては売れ残りを危惧します。
かつスキルが高いという触れ込みなのに、職歴の空白期間にスキルアップに繋がる活動もしていない。
プログラミングのレベルは書いた量に比例します。例外はありません。
職務経歴書と面接のやり取りでは高スキルをうたうのに、実際の行動が伴っていない。
ここの不一致からその方はお見送りという結論になりました。
キャリアがどうという話の前に、職歴に空白期間があれば説明の準備をするのは必須です。
その上でその方のキャリアから得られる教訓は何か。
IT業界ではプログラミングはできて当然です。
その当たり前のスキルを得意というのであれば当然、業務で扱う以上のレベルを期待します。
あなたが今働く業界がどこであれ、その業界ごとに求められる当たり前のスキルがあると思います。
その当たり前のスキルを得意というには、ある程度の覚悟と、他人と比べて圧倒的な行動量が必要になると覚えておいてください。
過去の経験を棚卸してキャリアプランを考える
ここまで3つの具体例を見てきましたが、ではあなたのキャリアプランをどう考えるのかについて解説します。
まずはこれまでの経験の棚卸が必要です。
職務経歴書に記載するような何年何月からどのプロジェクトにどのポジションで配置され、どんな言語を使って仕事をしていたのか、というのは基本。
そこからさらに踏み込んで、何を得意とし、何を期待され、何を求められていたのかを内省する必要があります。
得意なことなんて何もないと思うかもしれませんが、あなたにとっての当たり前が、他人にとっては非凡なことが多々あります。
得意を探し出す簡単な方法をひとつ試してみましょう!
たいして頑張ったつもりもないのに、他人から頼られたり感謝された経験はありませんか?
努力はしてない、でも感謝はされる、このギャップが大きければ大きいほど、あなたの得意である可能性が高いです。
逆にめちゃくちゃ頑張ってもたいして評価されないことがあったら、それはおそらく苦手分野でしょう。
過去の職歴からあなたの得意を見つけたら、その得意を磨くために必要な経験を考えます。
チームをまとめるのが得意であれば、リーダーなり管理職になればさらにそのスキルを磨けるし、
問題のヒアリングが得意なら、上流設計に携わって顧客折衝を担うポジションになればもっと経験を積めます。
過去の経験から得意を探して、過去・現在・未来が繋がるストーリーを描く。
そのストーリーを発展させるための経験を選択していく。
それがキャリアを積み上げるということです。
転職の先に望む人生を手に入れる
明確なキャリアビジョンがあれば、採用担当者に一目置かれること間違いナシ!
そもそもキャリアビジョンなんて語れない人の方が多いし、キャリアを語れるというのは自分自身の活かし方を把握しているに他ならないから。
なんですが、あなたのキャリアを考えるのは目の前の転職のためだけではありません。
会社都合のジェネラリストにならず、自ら成果を勝ち取るスペシャリストになるためにこそ、キャリアが必要です。
キャリアの軸を貫いてスキルを磨いて生かしていけば、転職のその先の、人生上の目標にだってきっと手が届きます。
かくいうわたしは転職時点では年収が100万円上がっただけでしたが、その後の1年で240万円さらに上がりました。
それはまさにキャリアに沿って経験を積み上げて、成果を上げ続けたからです。
転職の道具としてだけではなく、望む人生を手に入れるための武器として、キャリアを磨いてみてはいかがでしょうか。